2 IFRS(国際会計基準)の背景となる考え方とは

  
国際会計基準(INTERNATINAL FINANCIAL REPORTING STANDARDS)とは、世界的に承認され、遵守されることを目的として、国際会計基準審議会(IASB)によって設定された会計基準(会計基準でないという見解もありますが)の総称です。
 現在日本は本基準についてコンバージェンス(収斂)かアダプション(導入)かの選択をする必要があります。
 日本の基本的立場として「高品質な会計基準への国際的コンバージェンスという目標については、世界各国の資本市場にとっての便益となるものであり、賛同する」(企業会計基準委員会)としています。
 また、すでに平成22年3月期から、一定の上場会社は任意で国際会計基準にもとづいて財務諸表を開示することができます。
 今後、米国(日本と同様に国際会計基準と異なる基準を採用している経済有力国)の動向をみて、日本はコンバージョン(収斂)かアダプション(導入)かの決断を行うようです。
 本コラムでは詳細な内容を述べるのは紙幅が適切ではないと考え省略いたします(別の理由もありますが・・・)。

 そこで、このIFRSの成り立ちの背景となる考え方を述べてみたいと思います。
その中で特徴的といわれる「資産負債アプローチ」について説明したいと思います。
当期の利益(儲け)を計算する方法として「資産負債アプローチ」と「費用収益アプローチ」があります。
すこしラフな説明になりますが、前者については資産から負債を引いてその差額である純資産の期首と期末の増減額から当期の利益を計算しようとする考え方です。
つまり期末時点において、資産と負債の差額である純資産がどれだけ増減したかについて注目するものです。
⇒もう少し成果に記述すると利益概念を従来の当期純利益から包括利益に拡大しています
包括利益=(期末純資産-期末純資産)-資本取引額
      =当期純利益+その他包括利益
なお「その他の包括利益」の内容の主なものはその他有価証券評価差額金のような損益計算書を介さずに直接貸借対照表純資産に直入される取引です。
したがって、そこで重要となるのはバランスシートに計上する資産負債の評価価額です。
後者は費用と収益を対応してその差額から利益を算定しようとするものです。
この価額についてはご承知の方も多い方思いますが公正価値評価(フェアバリュー)が採用されるのが特徴です。
この公正という意味は正しいというわけでなく、取引に関して十分な情報を持っている者同士が行われる第三者間で成立する価額とされています(お互い納得できる価額ということですね)。

 このような考え方を採用するのは、マーケットから以下のニーズが高いからだと思われます。

 そこで、公正価値を算定するためには、将来キャッシュフロー(この資産がどのくらいキャッシュをかせぐか)の概念が重要となるものと思われます。
将来キャッシュフローが簿価を下回れば公正価値を減額しなければならないということになります(減損会計)。
IIFRSの背景には経済トレンドが金融商品の発達に伴い金融経済が実物経済をはるかにしのぐ状況になったことが考えられます。
IFRSの公表された基準を眺めてみると「なるほど」という考え方も多いですが、少し違和感を感じる項目もあることは確かです。

 私が会計学を勉強したころの伝統的会計では利益を計算するにあたって犠牲と効果の因果関係から導き出すという発想がありました。しかし、同様に利益を求めるにあたってのIFRSの発想を比較すると会計の概念に差異が生じていることを身にしみて感じます。
 国際会計基準の設定母体の国際会計基準委員会は、1973年に設立されました。
設立当初の参加国は、米国、英国、アイルランド、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、メキシコ、オランダそして日本でした。日本は当初からのメンバーだったのですね。(あの複式簿記の生まれ故郷イタリアが参加していない理由は分かりませんが・・・ご存知の方教えてくだされば幸いです)
このため、突然国際会計基準の登場ということであたかも大河ドラマ「竜馬伝」ではありませんが、黒船到来という表現は適当ではありません。
 なお、国際財務報告基準について、より詳しい説明は以下の公認会計士協会のサイトをご覧下さい。

国際会計基準とは


3.どうして会計上の純資産はM&Aでの売買価額と違うの


 普通に素直に考えれば、バランスシートの純資産が会社の値段になるかと思われます。
 しかし、一般的には会計上の純資産とM&A売買価額との間には差額が生じます。多くの場合売買価額が会計上の純資産を上回る取引となります(正ののれん)。 
 ここでその差額の原因となるのはとなるのは見えない資産、その中心となるのは自己創設ののれん、社長の経営ノウハウ、研究開発能力及びその他知的財産権というものです。 つまりバランスシートにのってこないものがかなりあるということですね。 この結果、一般的には純資産を売買価額が上回ることになることが多いと思います。 最近は会計基準の国際会計基準とのコンバージョンにより、企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果について、従来は取得対価の一部を研究開発等に配分した場合には当該金額を配分時に費用処理することとされていましたが、この処理については廃止することとなりました。 
 また、従来、被取得企業から受け入れた資産に識別可能な無形資産が含まれる場合には当該無形資産が識別可能なものであれば、原則として識別して資産計上が求められるようになりました。 この結果、従来より会計上の純資産と売買価額との差額は縮小する傾向になっています。
  ただし、前にも述べましたが、社長の経営のノウハウ、製造ノウハウ及び営業ノウハウ等のヒトの部分に係る価値はまだまだバランスシートに載るには時間がかかると思われます。その原因の最大のものは、測定(金額で表現すること)が大変困難であることがあげられます。






                                               

会計の一口知識



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私の力不足によりオリジナリティーがあまりなく申し訳ありません・・・・・・・・・
以下の記事または本ホームページでお気づきの点がありましたら、ご連絡いただければ幸いです。

HP管理者より


  1. 会計の本来の意味とは
  2. IFRS(国際会計基準)の背景とIFRSの考え方とは?
  3. どうして会計上の純資産はM&Aでの売買価額と違